Growth process in a local factory.
先日、とある方を介して工場見学をさせて頂きました。
私たちテーラーはスーツを作る工場を見ることはあっても、既製品の工場を見る機会は殆ど御座いません。
スーツの工場は、分刻みで流れてくるパーツを組み立てて、また次のパーツが流れては組み立てる・・・ 小さな町工場でも同じですが各部門ごとに役割分担がありそれをひたすらこなす作業。
まぁ、工場とはそういうものなんですが、今回はジーンズ工場にお邪魔しました。
っとその前に山口県下関市川棚という町に工場はあるんですが、その「川棚」と言えば、そう、瓦そば。
九州の人はCMでよく流れていたので馴染みがあります。
盛り付けに若干エロスを感じるところでは御座いますが、これがかの有名な「瓦そば」です。
実際に本場の瓦そばを食べたのは初めてでした。 美味でした。お値段も美味。
ということで我々は川棚に来ております。
元ボブソン山口工場。
ジーンズブランド黄金期を支えてきたこの工場も、ファストファッション時代の流れには逆らえず、民事再生申請の末、倒産。
当時から工場長をなさっていたY氏がせっかくあるこの工場を手放すのはもったいないと、一念発起。
自ら工場を買い取り、少人数ながらも30年以上のキャリアを生かし、素晴らしいジーンズ工場を今尚稼働させております。
工場長のY氏。
ジーンズの縫製技術等に関してはものすごい知識を蓄えてる方です。
当時の活気、熱量が伝わって来るこの空間。
工場っていい!!
何故か背筋がピシッとなったのは私だけでしょうか。
ところ狭しとミシン、ミシン・・・。 計200台くらいあるそうです。
当時の生産キャパだとこれぐらい必要だったんだろうなと思いましたが、実はコレ殆どが現役だそうです。
様々な案件に瞬時に対応出来、糸を変える手間を省く為に毎度機械ごとゴッソリ入れ替えてるそうです。
縫製内容や箇所によって多種多様にあるミシンは、糸の番手(太さ)なども様々あることからミシンの糸をいちいち変えるだけで一手間なんだと言います。
コレなんだか分かりますか?
そうです。ポケットを作成する機械。
アメリカに有名なミシンがあります。
ジーンズ好きな方、もしくはアメリカンワークウェアを語るには、もちのろんでご存知だとは御座いますが
「UNION SPECIAL (ユニオンスペシャル)」
こいつは切っても切り離せませんね。
特に、型番「43200G」というチェーンステッチの裾上げをするミシン。
当時アメリカの「リーバイス」工場では、この「UNION SPECIAL」で裾上げを行っており、不思議なことにこのミシンで裾上げを行うと、
こういったネジれが起きます。
当時は若干クレームだったようですが、現在はこのネジれが「良し」とされています。
43200Gを使っていくうちに経年の変化で送り歯に微妙なズレが生じ、捻れてしまう現象が起きるそうです。
1990年代、空前のビンテージブームにおいてこのネジれが当時のビンテージの証、そして「味」となり瞬く間にユニオンスペシャルのミシンが高騰。現在では軽自動車が変えるぐらいの価格にまで跳ね上がっています。
現存する(現役の)43200Gが少ないというのもあり、ジーンズショップでは通常の裾上げとは別のオプションとして設定しているお店もございます。
その伝説のミシンがこの工場にあるんです。 しかも現役バリバリ。
UNION SPECIAL 43200G
当時モノのパーツはもう残ってないそうで、壊れたりした際はパーツごと作ってるそうです。
このインダストリアル感。 たまらんですね。
一般家庭用ミシンと違い、構造も複雑。 私たちだと壊れても修理できないだろうと言ってました。
このミシンを見ることが出来て、今回の工場視察は満足と言っても過言では御座いません。
ボブソン工場時代からの職人さんたちが未だに働いてらっしゃいます。
みなさん手馴れたもので、手元がわからないぐらい早いです。
この機械は出来上がったジーンズに人工的にダメージを加える機械。
右に見える軽石とジーンズを一緒にドラム缶に入れてガシャガシャやるそうです。
Made in Japanのモノ作りにおいて、日本人の器用さとキメの細かさは世界に通用すると思います。
工場長のY氏もこう言っておりました。
「ファストファッションのように、見た目はそれっぽく作ることが出来ても、きっとその1手間がいつか必ず生きてくる。」
経験上、何度もそういったシーンに出くわしたのでしょう。
見た目はわからないが、その一手間を惜まず時間をしっかりかけること。
ビジュアルだけのファストファッションに比べ、Y氏のモノ作りはその先の未来までしっかり計算したモノ作りで考えています。
今の時代、ココが欠落しているような気がしますね。
◯◯っぽく、◯◯風、◯◯系、、、、
やはり、本物を知らずして多く語ることは出来ませんね。
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BELGRAVIA & SONS(ベルグラヴィア&サンズ)
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